fall in love

はたりょうです。あれは海外研修のことだった。。。

 

 

 

恋に落ちた。

 

いや、「落ちた」どころではない。ジェット機が物凄いスピードで俺の頭に猪突猛進。「ガンッ!!」と俺の頭を突撃し、脳天が弾け飛んだ。

・・・

 

俺は海外研修で、ベルギーの大学に来ている。生い茂った芝生、木製のベンチ、レンガ造りのキャンパス、そして、身長の高いパーマの学生がいっぱい。なんて “オシャレ”なんや。

 

キャンパスに囲まれながら、俺は身につけているパーカーのフードをパカパカさせ、陽気に歩いていた。あたりを見渡せば、ヘッドホンをつけた学生。ダボダボの服を着たストリート系の学生。ノースリーブのダウンを着こなす学生。何もかもがカッコよく見える。180cmを超える学生ばかりだった。

 

 

俺はキャンパスの中に入り、コンクリート感のある廊下と階段を登っていく。

指定された教室のドアの前に着いた。どこにでもある、スライド式のドアだった。このドアを開け、教室に入った時、俺の海外交流が始まる。今日、この教室の中で、俺は現地の学生と一緒に授業を受ける。合同セッションがあるのだ。ただ、俺は語学力0。英語もフランス語もさっぱりピーマン。はたしてどうなるか。

 

 

「スゥー。フゥー。」深呼吸をした俺は、ポケットからスマホを取り出した。スマホのスクリーン画面には

 

3月6日7:49

 

と表示されていた。ちなみに授業開始は8:00である。開始まで、あと10分ほどしかない。

ふと、スマホのスクリーンに映る、6日の「6」という数字に目がいった。

「6日。そうか、今日はロックンロールの日や。ロックにカッコよくこのドアを開けねば。」

いつも通り、しょーもないダジャレが思いつく。調子が良いのか悪いのか。知らんが俺は、行くしかない。「よし。いくで。」

俺は決心し、ドアの取っ手を掴んだ。力強く握り、横にスライドさせる。「ガラガラ・・・」

ドアが開いた。

 

 

途端。

 

 

恋に落ちた。

 

いや、「落ちた」どころではない。ジェット機が物凄いスピードで俺の頭に猪突猛進。「ガンッ!!」と俺の頭を突撃し、脳天が弾け飛んだ。

 

ルーブル美術館の絵画から抜け出してきた美女が、現実世界、それも数メートル先にいた。異世界から降臨した天使が、俺の目の前にたたずんでいる。

ほんの一瞬、彼女に目を奪われた直後、俺はジェット機で頭をどつかれ、意識が吹っ飛んだ。口から泡が止まらない。

「ガハ…、!?ウゥー!。。。!?天使っ。!?。!?。。」

 

 

彼女は、窓の側に立っていた。そして、外を眺めていた。ブラウン色の綺麗な髪が一本一本、艶やかに生え、絵画のような美しい目を持ち、小さな顔の美女だった。彫刻のような透き通った手で、ブラウンの髪の毛先をくるくるさせながら、外を見ていた。

 

「なんて…美しいん…だ…。」

 

やばい。

 

もう、研修どころではない。Oh No!

 

ドアを開けてしまった。もう教室に入るしかない。ガチガチに固まった顔で、教室の中に一歩踏み入れた。その動きはまるで真顔ロボット。ぎこちない動きで、右手と右足が前に、左手と左足が前に。カタ。コト。カタ。コト。兵隊人形の行進をしながら、数メートル先の中央にある机を目指した。一歩、また一歩と歩いていく。無事に中央の机に着いた俺は、何気ない雰囲気を装い、椅子に座った。俺の顔はガチガチに緊張し、まるでモアイ像と化していた。

そして、目の前の黒板を見つめながら、再び、ある衝動に駆られる。

 

「もう一度…彼女を見たい。」

 

そんな衝動が、俺の脳内で爆発する。

もう止められん。

 

俺は窓側へ振りむいてしまった。・・・

 

チラッ。

 

ぐうう。やばい。・・・天使やっ・・・。

 

 

彼女のブラウン色の目は、輝かしいほど素敵だった。

ちらと見たはずが、その美しさに、俺は釘付けになっていた。

 

え。・・・やばいやばい。

 

数秒間も見つめてしまったからだろうか。

天使がこちらを振り向いた。ブラウン色の目がこちらを見つめている。

 

やばい。やばい。どないしょ。

目が合ってしまった。

 

恥ずかしくなって視線をそらそうとしたが、ダメだ。モアイ像と化した顔は、もう動かない。ドクドクと心臓の音が全身に鳴り響くのを感じながら、俺は石のように硬直化してしまった。

 

 

すると、彼女の袖から少しだけ見えている、彫刻のような透き通った手が動き、手のひらを俺に見せ始めた。そして、その手のひらを数センチ刻みで、ひらひらと動かした。

・・・俺に向けて手を振り始めた…。

 

「あなた…様は…女神…さま…ですか……。」

 

「パンッ!」俺の心臓は恋の銃で撃たれ、破裂した。

体内で出血多量、俺のHPは0になった。

 

・・・

 

 

 

 

「え。」

 

気がつくと、俺は教室の外にいた。目の前には、例のスライド式のドアがある。どういうことだ。俺はポケットからスマホを取り出した。すると、スクリーン画面には

 

3月7日7:49

 

と表示されている。

「7日?」そんな馬鹿な。天使はどこへ行った。俺はタイムスリップしてしまったのか。そんなはずはない。目の前のドアの取っ手を握り、再びドアをスライドさせ、教室に入った。

「ガラガラ」…

 

あたりを見渡す。おかしい。あの天使はいない。それだけではない。昨日と学生が違う。

ふと、一緒に研修に来ていた日本人の友達を見つけた。そいつも俺に気がつき、そいつは俺に話しかけ始めた。

「おう!この大学での研修は2日目やな!今日も頑張ろな!」

 

とうとう、俺は24時間後の世界に来てしまった。玉手箱の魔法にかかってしまったのだ…。

 

 

「ガラガラ」。ふと、教室のドアが開いた。俺はドアの方を振り向いた。

 

ロングヘアーの緑色の髪の子が、教室に入ってきた。透き通るようなグリーン色の目をしていた。そして、彼女は俺の方をふと見つめた。・・・

 

途端。

 

俺はビル100階から落とされ、コンクリートの地面に「ガンッツ!」と頭をぶつけた。

 

今日もまた、恋に落ちた。・・・

 

 

【解説】

いや、ちょっと話盛ってるからな。

絶対引かんといてや?(笑)

本当に恋に落ちたかどうかはともかく、海外の学生とうまく会話できなくて、ジェスチャーで伝えるのに必死でした。無我夢中ってやつです。

夢中で身振り手振りしてたら、知らん間に1日が終わってて、知らん間に研修も終わってました。

 

「夢中」ってこわいですね。

 

人間って「夢中」になればなるほど、1日1日がすぐ終わって、1日1日が恋しくなってくるみたい。「夢中」になってはじめて、時間の大切さを感じるんかな。こわいですねー。

Time is こぇー。

 

さて、関カレまであと1か月半、ロードの部はあと数日後ですね。

 

関カレまでの1日1日は、平凡な1日じゃなくて、「夢中で」練習に取り組む1日1日になると思います。思っているよりも、すぐに関カレが到来しますね。「Time is こぇー」ですから。

 

1日1日ほんま大事にしなあかんっす。

 

以上。

 

次は、ふふふ。