I am a cat !!

ペンネームはたりょうです。



人間はいつからねこを好きになったのだろうか。

 

あれは部活帰りの夜のこと。梅雨が終わるか終わらないか、というこの時期。朝は雨が降っていたが、夜になるまでに雨が上がり、「あっ」と気がついた時には、すでに学校に傘を置き忘れている。こんなオチをむかえるこの季節。

 

しかし、夜に涼しげな風が吹くと、肌に気持ちよさが染みわたり、このまま外で眠ってしまいたくなる。そんな季節でもある。

 

教育論的な講義と大殿筋が破壊される部活を終え、昭和を感じさせる山陽電車は俺を乗せるやいなや、ゆらゆら西の方へ進んでゆく。俺はこの昭和感といい、ゆったり感といい、山電が何とも言えず心地よいのだ。

 

神戸付近の駅では車内も混んでいたが、西の駅に行くにしたがって、だんだん人も減っていく。この車両に乗っているのは、髪型がオールバックのサラリーマンか、トートバックを肩にかけるおばあちゃん。もしくはボトルキャップを握りしめているおじいちゃんくらいだ。自宅最寄り駅に着いたときには、車内座席はガラガラであった。


俺はこの車両を後にし電車から降りると、もうすでにあたりは真っ暗であった。駅の自転車駐輪場も夜と同化し、「シーン」としていた。

 

朝、駐輪場にチャリンコを停めに来た時は自転車でぎゅうぎゅうパック詰めであったが、夜になるとこんなにもガラガラになるのか。まあ、どこの駐輪場もこんな感じだろう。

 

俺は自分のチャリンコを発見し、かごに陸上用のスパイクを乗せ、チャリンコを漕いで駅を出た。


夜のチャリンコはどうも気持ちが良い。風を浴びながら、そして今日あった出来事を振り返りながら、空き家や公園を抜けていく。そんな時である。コンクリートの道端の街灯の下、白光の照明が当たる場所で、”ぽつん”とたたずむあるものを見つけた。

 


一匹の猫、のら猫である。白色の毛でおおわれており、耳の部分、特に右耳が黒かった。大きな瞳を持ち、ひげも立派。かわいらしい。

 

チャリンコを止め、猫の方に近づくと、猫は「みゃー」と鳴いた。

猫の声は「ニャー」と表現されることが多いが、俺の耳にはたしかに「みゃー」と聞こえた。

 

「にゃんじゃー」これは俺の声である。人の会話では「なんじゃー」と表現されることが多いが、俺の口ではたしかに「にゃんじゃー」と言っていた。

 

「にゃにしとんじゃ」と聞くと「みゃー」と返ってくる。

「にぇむたいんか」...「みゃー」と返ってくる。

「しゃみしんか」...「みゃー」と返ってくる。

 

俺は日焼けしたこの顔で、“ねこ言葉”をしゃべっていた。半袖短パンで、「にゃにしとんじゃ」と言っていた。もう俺は猫になっていた。

 

 

 

・・・

 

 

 

「にゃんにゃん」...「みゃー」

 


「にゃんにゃんにゃー。」...「みゃー」

 


「にゃんにゃん、にゃんにゃんにゃー。」...「クシュン!」

 

 

俺が「にゃんにゃん」と連呼した瞬間、猫の毛が逆立ち、物凄い勢いで身体を震わせながら「クシュン!」と空気砲を打ってきた。鼻から水しぶきがものすごいスピードで放射された。そして機嫌の悪そうな顔をこちらに向け、ぴゅいぴゅいっと、どっかへ逃げていった。

 

さっきまで「みゃー」「みゃー」と言っておったのがウソみたいだ。

 

そんなに俺の「にゃんにゃん」が気に食わなかったのか?そんなに、俺の「にゃんにゃん」がいやだったのか?俺だって「にゃんにゃん」くらい言うわい。

 

それに、あの全身から放たれた「クシュン!」はなんや。俺の“にゃんにゃん攻撃”にアレルギー反応が出たのか?俺の「にゃんにゃん」にアナフィラキシーショックを起こすと思ったのだろうか?俺を"異物"と判断するや否や、猫はぴゅいぴゅいっと、どっかへ逃げていった。

 

もしかすると、猫ははじめから俺に近づいてほしくなかったのかもしれない。

 

俺と猫のやり取りを振り返ってみる・・・

 

 

 

「にゃんじゃー」......「みゃー」(「うわわ、なんか来たわ。。。」)

 

「にゃにしとんじゃ」...「わしゃゆっくり寝とったんじゃい!」

 

「にぇむたいんか」...「おのれが近づいてきたから目が覚めたんじゃい!」

 

「しゃみしんか」...「それはお前の方じゃろ!」

 

・・・

 

「にゃんにゃん」...「もうええて。もうすぐ20歳にもなる大学生が何を言うとんねん。はよう家に帰らんかい」

 


「にゃんにゃんにゃー。」...「もうええ言うてるやん。ちょっとしつこいで。わしをなめとんのか。わしはなめネコか?」

 


「にゃんにゃん、にゃんにゃんにゃー。」...「なんか、寒気してきたかも...へ、へ、ヘックシュン!」

 

 


ふーん。猫には猫にしか分からない気持ちがあるみたい。

 

とりあえず俺からはこれだけ言っておく。

 

 

はにゃ?」

 



【解説】

この世界では色々な生き物がいます。窓の外を見てみると、鳥が飛んでいて、セミが鳴いていて、アリが列をなしていて。私たちは自然と共に生活していて、こういう“自然”に触れると、「じわじわ」っと心がくすぐられるものです。

セミの鳴き声を聞いて、夏を感じるように、人間は感性を持っています。昔の人はそれを“趣”と名付け、現代人にも“風流的感覚”として遺伝されているんじゃないでしょうか。

のら猫とか、近所の木々とか、まわりを見ると、色々な自然に触れることができます。そして、自然に触れると「じわじわっ」と日常の悩みから解放されるものです。

陸上や勉強で頭がいっぱいいっぱいになった時。そんな時こそ、“自然”に触れていきたいですね。

以上。

 

次はあの人です。あやつが猫になると、こう言うでしょう。「にゃんにゃんやけぇ」